夜間のこむら返り予防、ビタミンK2が有効か
題名
Vitamin K2 in Managing Nocturnal Leg Cramps A Randomized Clinical Trial
筆頭著者
Jing Tan, MD
文献
JAMA Intern Med. 2024;184(12):1443-1447.
記事タイプ
Original Investigation
背景
成人の約 50%~60% は、生涯のうちに夜間の脚のこむら返り (NLC) を経験している。NLC 患者のうち、不快な身体症状を経験している人の約 20% は、著しい苦痛と不眠を経験し、その結果、医療介入を求めることになる。ただし、NLC の管理に特定の薬剤 (マグネシウムやカルシウムチャネル遮断薬など) を使用することを裏付けるエビデンスは限られている。かつては NLC の治療に有効であったキニーネは、重篤な副作用があるため、現在は推奨されていない。筆頭著者らの以前の研究では、ビタミン K 2が、透析関連筋こむら返りの頻度、重症度、持続時間を軽減するのに有効であり、安全性プロファイルが良好であることが示されている。
目的
NLCの管理におけるビタミンK2の有効性と安全性を調査することを目的としている。
方法
対象患者
2週間のスクリーニング中にNLCのエピソードが2回以上記録された65歳以上の地域在住者
除外基準
特定の代謝性疾患および特定の神経障害(甲状腺機能低下症、血液透析、低血糖、アルコール依存症、筋萎縮性側索硬化症、ポリオ合併症、腰部脊柱管狭窄症、パーキンソン病、神経根障害、および運動ニューロン疾患)に起因するけいれん、悪性腫瘍、登録前 2 か月以内の利尿薬、ビタミン K 拮抗薬、およびビタミン K 2の使用があるもの。
デザイン
期間
2022年9月から2023年12月にかけて中国で実施
治療内容
2週間のスクリーニング中にNLCのエピソードが2回以上記録された65歳以上の地域在住者を1:1の比率で無作為に割り付け、8週間ビタミンK2(180μg)またはプラセボを投与された。
アウトカム
主要評価項目:1 週間あたりの NLC 発作の平均回数
統計分析:
カテゴリ変数は頻度付きのカウントとして表されました。カテゴリ変数には χ2 検定、連続変数にはt検定を使用して、グループ間のベースライン特性の比較分析を実行した。
結果
ベースラインのけいれんの週間頻度の平均(SD)は、ビタミンK 2群(2.60 [0.81])とプラセボ群(2.71 [0.80])の両方で同等であった。8週間の介入中、ビタミンK 2群のけいれんの週間頻度の平均(SD)は0.96(1.41)に減少した。一方、プラセボ群では、けいれんの週間頻度の平均(SD)は3.63(2.20)に維持された。2群間の差は統計的に有意であった(差、−2.67、95% CI、−2.86~−2.49、P < .001)。ビタミンK 2群では、プラセボ群(−1.24 [1.16] ポイント)と比較して、NLC 重症度の平均値(SD)の減少がより有意であった(−2.55 [2.12] ポイント)。ビタミンK 2群では、NLC 持続時間の平均(SD)の減少がより顕著であった(−0.90 [0.88] 分)が、プラセボ群(−0.32 [0.78] 分)よりも顕著であった。ビタミンK 2 の使用に関連する有害事象は確認されなかった。
結論
このランダム化臨床試験では、ビタミン K 2補給により、高齢者の NLC の頻度、強度、持続期間が安全性を確保しながら大幅に減少したことが実証されました。
日本での状況
国内で承認されているビタミンK2製剤はグラケー®カプセル「骨粗鬆症における骨量・疼痛の改善」、ケイツー®シロップ「新生児低プロトロンビン血症、分娩時出血、抗生物質投与中に起こる低プロトロンビン血症、クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症」、ケイツーN®静注「胆道閉塞・胆汁分泌不全による低プロトロンビン血症、新生児低プロトロンビン血症、分娩時出血、クマリン系抗凝血薬投与中に起こる低プロトロンビン血症、クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症」であり、夜間のこむら返りの適応はない。
夜間のこむら返りを「急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉痛」と判断して漢方薬の芍薬甘草湯を使用している印象がある。
意見
国内承認のビタミンK2製剤は15㎎と本試験で用いられた180μgより8倍以上の用量のため迅速な承認は難しいが、15㎎カプセルのジェネリックが1錠11.4円で販売されているため価格的にも毎日内服する分には問題がなさそうな印象を受ける。予防としてビタミンK2製剤を内服し、イベント発生時に芍薬甘草湯で対応をすることが検討される日が来るかもしれない。高齢者の不眠の訴えは多く、睡眠導入薬の使用による転倒も問題とされている。こむら返りによる不眠がある場合は試す価値があると思われる。
謝辞
本記事作成にあたって、にゃんぼりーもっふぃー様に大変過分なご支援をいただきました。誠にありがとうございます。また、当該配信をご視聴いただいた方、本記事をここまで読んだすべての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
おまけ
こむら返りって皆さんどのようなタイミングでもらいますかね。私は深夜に激痛で目覚めるというよりは急に目が覚めた瞬間に「あ、これ来る」という感じでくらっています。まずは食事摂取で改善するといいと思うので、CHAT GPTさんに聞いてみます。
一般的に、こむら返りは脱水や電解質(特にマグネシウム)の不足で起こることが多いようです。CHAT GPTさんにマグネシウムが不足したら何食べたらいいか聞いてみました。
何か、召し上がれそうなものはありましたか。私は筆頭に書かれた納豆が苦手なので何とか他で補っていこうと思います。
おまけまで目を通していただけて本当にありがとうございます。もしよければ、このブログを更新した旨をXにてポストいたしますので、リプライで「これなら食べられそうだと思うもの」を教えてください。論文紹介のポストに全然関係なさそうな食べ物のリプライがつくのを楽しみにしています。