論文タイトル
米国人を10グループに分類した場合の余命の格差
題名
Ten Americas: a systematic analysis of life expectancy disparities in the USA
筆頭著者
Laura Dwyer-Lindgren, PhD
文献
Volume 404, Issue 10469p2299-2313December 07, 2024
背景
約20年前、8 つのアメリカ大陸の研究は、地理、人種、都市性、一人当たりの所得、殺人率に基づいて米国の人口を 8 つのグループに分けることにより、米国の健康格差を調査する研究が報告されている。その研究では、2001 年におけるこれら 8 つのグループの平均寿命に、女性で 12.8 年、男性で 15.4 年の差があることがわかっている。
目的
本研究では、元の 8 つのアメリカ大陸の研究を更新および拡張し、10 のアメリカ大陸 (元の8 つのアメリカ大陸に類似し、米国のラテン系人口を構成する 2 つのグループを追加) の 2000 年から 2021 年までの平均寿命の傾向を年、性別、年齢グループ別に調査することを目指している。
方法
対象
10のグループに米国人を分類している。2020年の米国人の収入中央値は3万2363米ドル。
米国1:アジア系とハワイ先住民
米国2:(5を除く)ラテン系住民
米国3:(4と8を除く)白人、(10を除く)本土とアラスカの先住民
米国4:大都市圏以外に住む1人当たりの収入が中央値未満の白人
米国5:南西部(アリゾナ、コロラド、ニューメキシコ、テキサス)のラテン系住民
米国6:(7と9を除く)黒人
米国7:居住地分離度が高い大都市圏に住む黒人
米国8:アパラチアとミシシッピ川下流域に住む1人当たりの収入が中央値未満の白人
米国9:ミシシッピ川下流域と南部の大都市圏以外に住む1人当たりの収入が中央値未満の黒人
米国10:西部(アリゾナ、コロラド、アイダホ、カンザス、ミネソタ、モンタナ、ネブラスカ、ネバダ、ニューメキシコ、ノースダコタ、オクラホマ、サウスダコタ、ユタ、ワイオミング)の先住民
期間
2000~20年については、国立健康統計センターのブリッジングされた人種人口推計を使用。 2020~21年については、さらに米国国勢調査局の人口推計を使用。
統計分析
各郡と人種および民族を10のアメリカ大陸のいずれかに割り当て、年、アメリカ、年齢、性別、シミュレーションごとに死亡数と人口を合計。年齢別の死亡率から、標準的な生命表手法と、終末期グループの平均余命を推定する堀内とコールの方法を使用して、年、アメリカ、性別、シミュレーションごとに簡略化された生命表を作成。1000回のシミュレーションの2.5%から97.5%までの平均と95%不確実性区間から点推定値を計算。
結果
2000年における0歳時の平均余命(平均寿命)は、最も長い米国1が83.1歳(95%不確実性区間82.7-83.5)、最も短い米国9は70.5歳(70.3-70.7)で、両グループの差は12.6年(12.2-13.1)だった。長命なグループと短命なグループの格差は拡大傾向を示し、2010年には13.9年、2019年には15.8年、2020年は18.9年、2021年は20.4年となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響は大きく、全てのグループで2019年よりも2020年の平均余命が減少した。
2000年以降の平均余命のトレンドは、各グループによって異なる傾向を示した。2000~19年に平均余命が大幅に減少したのは米国10のみで、特に2019年から2021年の減少が大きかった。米国8の平均余命は2000年から2019年まで比較的横ばいだった。黒人は米国6、7、9のいずれも2020年まで平均余命が伸びており、2006年には米国10を上回った。米国6は2010年には米国8を追い越した。米国3は、ほとんどの年で所得が最も高く、全ての年で学歴高卒以上の割合が最も高かったが、2020年までの平均余命では4位か5位であった。
結論
研究では、COVID-19パンデミックに先立つ米国の平均寿命の停滞傾向には、肥満率の上昇や薬物の過剰摂取による死亡率の急上昇など、複数の要因が指摘されている。特に、中年期(25〜64歳)の死亡率の上昇がこの傾向に寄与しており、薬物の過剰摂取と心血管代謝疾患が主な原因とされている。アルコール乱用と自殺も関与していると言われているが、これらが平均寿命の停滞にどの程度寄与しているかは議論の的となっている。医療へのアクセスはこれらの問題に対処する上で重要な役割を果たしているが、それだけではこれらの人口健康問題を解決できるわけではない。不適切な食事、不十分な身体活動、薬物使用、過度のアルコール摂取、高血圧などの顕著なリスクに対処するには、人口レベルの介入が必要である。予防策、公衆衛生イニシアチブ、社会的努力を含む包括的なアプローチが必要である。
意見
最初に読んだときに、なんともアメリカらしいなと思っていました。それぞれの人種がそれぞれ分かれたまま生きているんですかね。だからこそ出来た研究かもしれないと思っています。
謝辞
本記事作成にあたって、ガブングル様に大変過分なご支援をいただきました。いただいたご支援をもとに、より一層明るい配信を続けていこうと思います。誠にありがとうございます。また、当該配信をご視聴いただいた方、本記事をここまで読んだすべての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
おまけ
おまけまで見ていただいてありがとうございます。配信の内容をブログに載せていますが今回かなり遅くなってしまいました。申し訳ございません。
お正月はテレビを見たり、配信に遊びに行ったりととてもまったり過ごしました。もしよければ、お正月に食べたもので特においしかったなと思ったものを教えてください。私はたこわさです。おせちに飽きてちょっとつまんだら止まらなくなりました。白ワインとよく合ってとてもおいしかったです。この記事を紹介しているXのポストに記事の感想の代わりにご返信いただけるととても喜びます。