新薬belantamab mafodotinの臨床試験結果
論文タイトル
多発性骨髄腫に対するベランタマブ マホドチン,ボルテゾミブ,デキサメタゾンの併用
題名
Belantamab Mafodotin, Bortezomib, and Dexamethasone for Multiple Myeloma
(NEJM 2024年8月1日掲載)
筆頭著者
V. Hungria
背景
再発・難治性多発性骨髄腫において、抗BCMA抗体薬belantamab mafodotinは単剤でも抗腫瘍効果が確認されており、標準治療との併用による有効性が期待されている。
目的
再発・難治性多発性骨髄腫患者に対し、belantamab mafodotin + bortezomib + dexamethasone(BVd)療法の有効性と安全性を、daratumumab + bortezomib + dexamethasone(DVd)療法と比較検討すること。
方法
BVd群とDVd群に1:1で無作為に割り付け、主要評価項目をPFS(無増悪生存期間)とし、複数の副次評価項目を設定して評価。
対象患者
多発性骨髄腫の既治療例(1レジメン以上)
最も直近の治療中または治療後に病勢進行を認めた患者
登録数:494人(BVd群243人、DVd群251人)
除外基準
抗CD38抗体療法(例:daratumumab)に対する難治性
抗BCMA治療の既往
デザイン
国際共同、無作為化、オープンラベル、第3相試験(DREAMM-7試験)
期間
登録期間:2020年5月7日〜2021年6月28日
データカットオフ:2023年10月2日
中央値フォローアップ期間:28.2か月(0.1〜40.0)
治療内容
BVd群:belantamab mafodotin 2.5 mg/kg(3週ごと)+ bortezomib + dexamethasone
DVd群:daratumumab 16 mg/kg(漸減投与)+ bortezomib + dexamethasone
いずれも病勢進行または有害事象による中止まで継続
アウトカム
主要評価項目:
無増悪生存期間(PFS)
副次評価項目:
全生存期間(OS)
奏効持続期間
MRD陰性割合(10⁻⁵感度での次世代シーケンス)
有害事象、安全性、生活の質
統計分析
主な解析はPFSに基づき、280イベントで90%以上の検出力を確保
有意水準:片側2.5%(ファミリーワイズ補正あり)
手法:層別log-rank検定、Cox比例ハザードモデル、Kaplan-Meier法、Cochran–Mantel–Haenszel検定(MRD)
結果
PFS:BVd群36.6か月 vs. DVd群13.4か月(HR 0.41, P<0.001)
OS(18か月):BVd群84% vs. DVd群73%(HR 0.57)
奏効率(PR以上):BVd群83%、DVd群71%
CR以上 + MRD陰性:BVd群25%、DVd群10%
Grade 3以上の有害事象:BVd群95%、DVd群78%
眼科的有害事象:BVd群79%、DVd群29%(大部分は可逆的)
結論
BVd療法はDVd療法に比べて、再発または難治性多発性骨髄腫患者におけるPFSを有意に延長した。Grade 3以上の有害事象や眼障害の頻度は高かったが、多くは管理可能であり、深く持続的な奏効が得られたことから、BVdは再発後の有力な治療選択肢となり得る。
補足:目の副作用について
ベランタマブ マホドチンは、「BCMA(B cell maturation antigen)を標的とする抗体薬物複合体(ADC)」であり、BCMAを発現する多発性骨髄腫細胞に選択的に細胞傷害性物質を送達している。
1. 抗体薬物複合体(ADC)による非特異的角膜毒性
ベランタマブ マホドチンは、BCMAに結合する低フコース化IgG1抗体に、**細胞毒性物質MMAF(モノメチルアウリスタチンF)**をリンカーで結合させた構造。
角膜上皮にはBCMAが発現していないとされるが、ADCが非特異的に角膜上皮細胞に取り込まれ、リソソーム内でMMAFが遊離→微小管を障害することで細胞死を誘導。
結果として、点状表層角膜症(SPK)や角膜混濁、潰瘍、視力低下などが発現する。
2. 表層角膜障害の蓄積性
多くの症例で、初回から4回目の投与までにGrade 2以上の角膜障害が発現しており、蓄積性の毒性が示唆される。
DREAMM-7/8試験における解析では、角膜障害の約88%が最初の4サイクル以内に発現している。
意見
2025年5月19日に日本で製造販売承認された医薬品の根拠となっている論文です。再発、難治性の多発性骨髄腫の治療の選択肢が追加されましたというのが本記事で紹介している薬剤です。
目薬をバシャバシャ使う予防法をしていくことになりそうですね。

おまけ
おまけまで目を通してくださって本当にありがとうございます。新薬の情報提供に挑戦してみました。血液のがんは白血病が一般知名度は高い印象ですが、多発性骨髄腫はCAR-T療法というめちゃくちゃ高価な治療法があり、政治家が高額療養費制度の問題点として挙げたりと話題の疾患ではあります。いろんな選択肢があるといいなと思いますね。
日曜日に作り置きを用意する生活をしばらく続けています。今日はMIX豆のキーマカレーを初めて作ってみました。皆さんが最近初めてやってみたことを、ぜひ感想代わりに投稿のポストにリプライしてください。とってもとっても喜びます。
アルコール使用障害の新たな治療
論文タイトル
アルコール使用障害に対するバレニクリンとブプロピオンの併用および単独投与の有効性と安全性
題名
Efficacy and safety of varenicline and bupropion, in combination and alone, for alcohol use disorder: a randomized, double-blind, placebo-controlled multicentre trial
筆頭著者
Bo Söderpalm
文献
The Lancet Regional Health - Europe Volume 54,101310,July 2025
背景
アルコール使用障害(AUD)は深刻な社会的・医療的負担をもたらす。ドパミン欠乏仮説に基づき、ドパミンを増強する薬剤(バレニクリンとブプロピオン)が飲酒量を減らすかを検討する。
目的
バレニクリンとブプロピオンの単独または併用によるAUD患者の飲酒量減少効果と安全性を評価すること。
方法
スウェーデンの4施設で実施された13週間の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験。被験者を4群に無作為に割り付けた。
対象患者
25〜70歳の中等度〜重度のAUD患者(DSM-5基準で4項目以上該当)、B-PEth ≧ 0.5 μmol/L、過去3か月間に週2回以上の大量飲酒がある者。
除外基準
スクリーニングから無作為化までに禁酒した者、30日以内の離脱治療歴、過去3か月に他のAUD治療歴、重篤な身体・精神疾患、離脱症状歴など。
デザイン
無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同、4群比較(プラセボ、バレニクリン単独、ブプロピオン単独、併用)。
期間
2019年3月4日〜2022年12月14日(13週間の介入期間)。
治療内容
バレニクリン:1 mg × 2回/日、ブプロピオン:150 mg × 2回/日(いずれも1週間の漸増投与後、12週間継続)。対応するプラセボも使用。
アウトカム
主要評価項目
血中ホスファチジルエタノール(B-PEth)
自己申告による重度飲酒日の割合(%HDD)
(いずれも週2〜11の平均で評価)
副次評価項目
1日あたりのアルコール摂取量(g/day)
禁酒日割合、アルコール渇望スコア(VAS)
統計分析
mITTおよびPP解析を実施。
階層的多重比較法により5%水準で検定。
効果量(Cohen's d)を算出。
副次評価項目はHolm-Bonferroni法で補正。
結果
384名が無作為化(男性72%、中央値57歳)。
**主要評価項目(mITT解析)**では、併用群およびバレニクリン単独群ともにB-PEthおよび%HDDがプラセボより有意に減少(d=0.39と0.31;d=0.30と0.36)。
PP解析では効果量がさらに増加(d=0.43と0.41)。
ブプロピオン単独は効果が小さく有意差なし。
副次評価項目では、アルコール摂取量(g/day)のみが併用群で有意に減少(d=0.44~0.47)。
有害事象
重篤な有害事象は均等。最も多かったのは頭痛と吐き気。吐き気はバレニクリン単独より併用群で少なく、持続期間も短縮。
結論
バレニクリンとブプロピオンの併用は、中等度〜重度のAUD患者において飲酒量を有意に減少させ、既存治療薬よりも大きな効果を示した(d≒0.4)。また、ブプロピオンはバレニクリンによる吐き気を軽減する作用もあり、安全性も良好だった。ドパミン欠乏仮説を支持する新たな治療選択肢として期待される。
意見
アルコール使用障害の患者に対して有効な治療が見込まれる。依存症については本人のやめたい気持ちも重要であるためこれを使えばよいとは言い切れないが、選択肢が増えることで一人でも改善が望めるならば今後に期待したい。

おまけまで目を通していただけて本当にうれしいです。ありがとうございます。
アルコール使用障害は非常に克服が難しい疾患の一つだと思います。かくいう私もハイボールやワイン、クラフトビールなど気分に合わせていろんなお酒を楽しんでいます。我慢ができなくなったら依存症ですが、最近車を運転する機会が多いので自制はなんとかきいています。
もしここまで読んでくださった方がいたら、本記事のポストのリプライに「最近飲んだおすすめのお酒」でも書いてください。タイトルと全く異なるリプライが届くのが私の夢でもあります。
心不全とうつ病の因果関係を掘り下げた研究 #予測因子 #心臓
論文タイトル
題名
Depression and Heart Failure in US Veterans
筆頭著者
Jamie L. Pfaff, MD
文献
JAMA Netw Open Published Online: May 8, 2025
2025;8;(5):e259246.
背景
心不全(HF)と抑うつ(うつ病)は米国で数百万人に影響を与えており、うつ病が心不全のリスク因子である可能性が示唆されているが、因果関係の研究は不足している。
目的
米国の退役軍人において、うつ病が心不全の発症リスクと関連しているかを検証すること。
方法
2000年1月1日~2015年10月1日に米国退役軍人省(VA)のデータベースから取得されたデータを用いた前向きコホート研究。
対象患者
1945~1965年生まれの退役軍人。心不全の既往がなく、5年以内に3回の外来受診がある者(メディカルホーム基準)。
除外基準
心不全の既往または1年以内の発症
心臓移植歴
性別不明
登録1年以内に死亡
18歳未満
デザイン
前向き観察コホート研究
期間
観察期間中央値6.9年(IQR 3.4~11.0年)
治療内容
特定の治療介入は無し(観察研究)。うつ病の治療内容は明示されていない。
アウトカム
主要評価項目:
心不全の初発までの時間(ICD-9/10コードにより定義)
副次評価項目:
性別、人種、心血管リスク因子別のサブグループ解析。低リスク群における解析。
統計分析:
Cox比例ハザードモデルによるハザード比(HR)の算出
カプランマイヤー曲線による生存分析
サブグループ解析と感度分析(時間依存モデル、E-value解析等)
欠測データは多重代入法を使用
結果
総対象者数:2,843,159人(うち8.0%がベースラインでうつ病)
うつ病あり群の心不全発症率:136.9/10,000人年
うつ病なし群:114.6/10,000人年
うつ病は心不全の発症リスクを14%上昇(HR 1.14, 95% CI 1.13–1.16)
低リスク群でもうつ病は58%のリスク上昇と関連(HR 1.58, 95% CI 1.39–1.80)
男性、白人、年齢が高い群で心不全リスクはより高い傾向
結論
うつ病は、他の心血管リスク因子とは独立して心不全の発症リスクを増加させる。特にリスク因子の少ない集団でも関連が認められたことから、うつ病は重要な予測因子となり得る。
意見
心不全を持つ患者はうつ病を患いやすく、逆もまた真なりとしての論文でしたね。退役軍人と非退役軍人の違いや米国人と日本人の違いについても検討は必要ですが、概ね同じ傾向と考えるとうつ病患者は定期的に心不全の検査も行った方がいいのでしょうか…

おまけ
最後まで目を通していただいて本当にありがとうございます。病は気からを示唆する論文はなかなか強烈でしたね。体調に気を付けて皆様お過ごしください。
ここまで読んでくださった方、感想代わりにぜひブログ投稿のポストに夜寝る前に飲むお茶のおすすめを書いてください。楽しみに待っています。
60歳以上の腎移植待機者の半数が提供臓器を受ける前に死亡
論文タイトル
60歳以上の腎移植待機者の半数が提供臓器を受ける前に死亡
題名
Half of Kidney Transplant Candidates Who Are Older than 60 Years Now Placed on the Waiting List Will Die before Receiving a Deceased-Donor Transplant
筆頭著者
Jesse Schold
文献
Clin J Am Soc Nephrol. 2009 Jul;4(7):1239–1245. doi: 10.2215/CJN.01280209
背景
末期腎疾患(ESRD)の患者数が増加し、特に高齢患者においては透析中の死亡率が高いため、亡くなったドナーからの腎移植(DDTx)を受けるまでの待機時間の増加が問題となっている。
目的
60歳以上の新規登録腎移植候補者における、DDTxを受ける可能性と移植前死亡のリスクを、患者および地域レベルの要因を基に予測すること。
方法
1995年~2007年に米国でDDTx目的で登録された60歳以上の腎移植候補者に関する後ろ向き解析。科学的移植受給者登録(SRTR)データベースを使用。
対象患者
60歳以上で、1995年から2007年の間に新規に単独腎移植候補として登録された54,699人。
除外基準
同一人物の複数回登録のうち初回登録以外。感作度、BMI、種族などに関してデータが欠損している場合は分析から除外される可能性あり。
デザイン
後ろ向きコホート研究
期間
1995年~2007年7月
治療内容
亡くなったドナーからの腎移植(DDTx)。一部患者は生体ドナーからの移植も受けたが、感度分析では除外。
アウトカム
主要評価項目と副次評価項目に分類。
主要評価項目
DDTxを受けるまでの時間、及び移植前死亡率。
副次評価項目
地域別および患者属性別に見たDDTx待機時間と死亡リスクの変動。
統計分析
Weibull分布に基づくパラメトリック生存モデルを使用。Kaplan-Meier法、%PREDICTマクロによる予測。多変量モデルにより年齢、PRA、BMI、血液型、人種、地域、透析状況などを調整。感度分析として、生体腎移植受けた患者を除外したモデルも実施。
結果
・2006~2007年に登録された60歳以上の患者の46%は、DDTxを受ける前に死亡すると予測された。
・糖尿病、年齢70歳以上、黒人、血液型BおよびO、高感作、透析中の登録者でリスクが高かった。
・地域によって死亡率は6~81%と大きく異なった。
・一時的に非アクティブ(status 7)として登録された患者を除くと、移植前死亡の予測は35%に低下。
・多変量解析で、移植までの時間に影響する因子として、PRA高値、血液型B/O、白人、人種、BMI、地域などが有意。死亡率には全ての変数が有意だった。
結論
60歳以上の腎移植候補者の多くがDDTxを受ける前に死亡する可能性が高く、地域および個人要因によってそのリスクは大きく異なる。情報提供と早期の意思決定、生体ドナーの検討が重要である。
意見
こうした論文をもとに、現在世界ではブタの腎臓を移植する研究が行われている。ブタはヒトの腎臓と大きさが近いことも理由の一つのようである。生体腎でない移植の技術が進化すれば腎透析による医療費の圧迫も改善されそうで期待したい。倫理的なところをどうにかする必要があるが...

おまけ
こんにちは、お久しぶりです。おまけまで目を通してくださってありがとうございます。今回の論文を読むに至ったニュースはブタ→ヒトへ腎移植を行っている研究が始まっているという内容でした。日本でも行われているようです。うまくいけば医療費を下げることができると思います、が、なかなか難しそうで...
倫理的にはどうなの?と思われますが、日本では既にブタの心房弁を医療機器として用いております。腎移植となるともっとたくさんのブタが育てられてしまうのでまた倫理の問題が勃発してしまいそうですね...
米国人の余命格差を解析
論文タイトル
米国人を10グループに分類した場合の余命の格差
題名
Ten Americas: a systematic analysis of life expectancy disparities in the USA
筆頭著者
Laura Dwyer-Lindgren, PhD
文献
Volume 404, Issue 10469p2299-2313December 07, 2024
背景
約20年前、8 つのアメリカ大陸の研究は、地理、人種、都市性、一人当たりの所得、殺人率に基づいて米国の人口を 8 つのグループに分けることにより、米国の健康格差を調査する研究が報告されている。その研究では、2001 年におけるこれら 8 つのグループの平均寿命に、女性で 12.8 年、男性で 15.4 年の差があることがわかっている。
目的
本研究では、元の 8 つのアメリカ大陸の研究を更新および拡張し、10 のアメリカ大陸 (元の8 つのアメリカ大陸に類似し、米国のラテン系人口を構成する 2 つのグループを追加) の 2000 年から 2021 年までの平均寿命の傾向を年、性別、年齢グループ別に調査することを目指している。
方法
対象
10のグループに米国人を分類している。2020年の米国人の収入中央値は3万2363米ドル。
米国1:アジア系とハワイ先住民
米国2:(5を除く)ラテン系住民
米国3:(4と8を除く)白人、(10を除く)本土とアラスカの先住民
米国4:大都市圏以外に住む1人当たりの収入が中央値未満の白人
米国5:南西部(アリゾナ、コロラド、ニューメキシコ、テキサス)のラテン系住民
米国6:(7と9を除く)黒人
米国7:居住地分離度が高い大都市圏に住む黒人
米国8:アパラチアとミシシッピ川下流域に住む1人当たりの収入が中央値未満の白人
米国9:ミシシッピ川下流域と南部の大都市圏以外に住む1人当たりの収入が中央値未満の黒人
米国10:西部(アリゾナ、コロラド、アイダホ、カンザス、ミネソタ、モンタナ、ネブラスカ、ネバダ、ニューメキシコ、ノースダコタ、オクラホマ、サウスダコタ、ユタ、ワイオミング)の先住民
期間
2000~20年については、国立健康統計センターのブリッジングされた人種人口推計を使用。 2020~21年については、さらに米国国勢調査局の人口推計を使用。
統計分析
各郡と人種および民族を10のアメリカ大陸のいずれかに割り当て、年、アメリカ、年齢、性別、シミュレーションごとに死亡数と人口を合計。年齢別の死亡率から、標準的な生命表手法と、終末期グループの平均余命を推定する堀内とコールの方法を使用して、年、アメリカ、性別、シミュレーションごとに簡略化された生命表を作成。1000回のシミュレーションの2.5%から97.5%までの平均と95%不確実性区間から点推定値を計算。
結果
2000年における0歳時の平均余命(平均寿命)は、最も長い米国1が83.1歳(95%不確実性区間82.7-83.5)、最も短い米国9は70.5歳(70.3-70.7)で、両グループの差は12.6年(12.2-13.1)だった。長命なグループと短命なグループの格差は拡大傾向を示し、2010年には13.9年、2019年には15.8年、2020年は18.9年、2021年は20.4年となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響は大きく、全てのグループで2019年よりも2020年の平均余命が減少した。
2000年以降の平均余命のトレンドは、各グループによって異なる傾向を示した。2000~19年に平均余命が大幅に減少したのは米国10のみで、特に2019年から2021年の減少が大きかった。米国8の平均余命は2000年から2019年まで比較的横ばいだった。黒人は米国6、7、9のいずれも2020年まで平均余命が伸びており、2006年には米国10を上回った。米国6は2010年には米国8を追い越した。米国3は、ほとんどの年で所得が最も高く、全ての年で学歴高卒以上の割合が最も高かったが、2020年までの平均余命では4位か5位であった。
結論
研究では、COVID-19パンデミックに先立つ米国の平均寿命の停滞傾向には、肥満率の上昇や薬物の過剰摂取による死亡率の急上昇など、複数の要因が指摘されている。特に、中年期(25〜64歳)の死亡率の上昇がこの傾向に寄与しており、薬物の過剰摂取と心血管代謝疾患が主な原因とされている。アルコール乱用と自殺も関与していると言われているが、これらが平均寿命の停滞にどの程度寄与しているかは議論の的となっている。医療へのアクセスはこれらの問題に対処する上で重要な役割を果たしているが、それだけではこれらの人口健康問題を解決できるわけではない。不適切な食事、不十分な身体活動、薬物使用、過度のアルコール摂取、高血圧などの顕著なリスクに対処するには、人口レベルの介入が必要である。予防策、公衆衛生イニシアチブ、社会的努力を含む包括的なアプローチが必要である。
意見
最初に読んだときに、なんともアメリカらしいなと思っていました。それぞれの人種がそれぞれ分かれたまま生きているんですかね。だからこそ出来た研究かもしれないと思っています。
謝辞
本記事作成にあたって、ガブングル様に大変過分なご支援をいただきました。いただいたご支援をもとに、より一層明るい配信を続けていこうと思います。誠にありがとうございます。また、当該配信をご視聴いただいた方、本記事をここまで読んだすべての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

おまけ
おまけまで見ていただいてありがとうございます。配信の内容をブログに載せていますが今回かなり遅くなってしまいました。申し訳ございません。
お正月はテレビを見たり、配信に遊びに行ったりととてもまったり過ごしました。もしよければ、お正月に食べたもので特においしかったなと思ったものを教えてください。私はたこわさです。おせちに飽きてちょっとつまんだら止まらなくなりました。白ワインとよく合ってとてもおいしかったです。この記事を紹介しているXのポストに記事の感想の代わりにご返信いただけるととても喜びます。
血流感染の抗菌薬治療期間:7日vs14日比較
血流感染への抗菌薬治療、7日間と14日間を比較
- 題名Antibiotic Treatment for 7 versus 14 Days in Patients with Bloodstream Infections
- 背景
- 目的
- 方法
- 結果
- 結論
- 意見
- 謝辞
題名
Antibiotic Treatment for 7 versus 14 Days in Patients with Bloodstream Infections
著者
The BALANCE Investigators, for the Canadian Critical Care Trials Group, the Association of Medical Microbiology and Infectious Disease Canada Clinical Research Network, the Australian and New Zealand Intensive Care Society Clinical Trials Group, and the Australasian Society for Infectious Diseases Clinical Research Network*
文献
10.1056/NEJMoa2404991
記事タイプ
Original Article
背景
血流感染症は一般的で、致命的となることもあり、全体で死亡原因の上位 7 つにランクされている。早期かつ適切な抗生物質療法は生存率を改善するが、治療期間については十分な議論がされていない。
臨床診療の指針となる証拠がないため、血流感染症患者の治療期間に関する推奨はさまざまで、重篤な疾患の患者の場合、中央値は 14 日以上となっている。そのため、血流感染症患者に対する7 日間の抗生物質治療と 14 日間の治療を比較するランダム化臨床試験が実施された。
目的
死亡率に関して 7 日間の治療は 14 日間の治療に劣らず、抗菌薬への曝露、合併症、耐性の減少などの利点をもたらすだろうという仮説を検証する。
方法
対象患者
血液培養で病原菌が陽性と報告された時点で参加病院に入院していた患者
除外基準
以前試験に登録されたことのある患者、重度の免疫不全状態(好中球減少症または固形臓器移植もしくは造血幹細胞移植後に免疫抑制治療を受けている)、人工心臓弁または血管内移植を受けた患者、長期の治療が必要な感染症候群(心内膜炎、骨髄炎、化膿性関節炎、排膿されていない膿瘍、未除去の人工関節関連感染など)が確認されている、または疑われる患者、一般的な汚染物質(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌など)の培養が陽性であった患者、黄色ブドウ球菌またはS. lugdunensisによる菌血症、長期の治療を必要とする希少微生物による菌血症、または真菌血症の患者
デザイン
研究者主導、多施設、非盲検、ランダム化、対照、非劣性試験
期間
2014年10月17日に登録され、最後の患者は2023年5月5日に登録された
治療内容
血流感染症の入院患者(集中治療室 [ICU] の患者を含む)をランダムに割り当て、7日間または14日間の抗生物質治療を受けた。抗生物質の選択、投与量、投与経路は治療チームの裁量に任された。
アウトカム
主要評価項目:血流感染の診断後 90 日までのあらゆる原因による死亡(血液培養陽性の日付で定義)
副次評価項目:院内死亡、血流感染の診断後に ICU に登録された患者または ICU に入院した患者の ICU 内での死亡、最初の感染を引き起こした同じ微生物による菌血症の再発、抗生物質に対するアレルギーおよび有害事象、院内におけるクロストリジウム・ディフィシル感染症、院内における抗菌薬耐性微生物による二次感染または定着、ICU 在院期間および ICU 非在院日数、入院期間および入院非在院日数、侵襲的機械的人工呼吸器の期間および人工呼吸器非在院日数、抗生物質非在院日数、および血管収縮薬の使用期間および血管収縮薬非在院日数
統計分析
割り当てられた期間の 2 日以内に治療を受けた患者 (割り当てられた期間より 2 日少ないか 2 日多い) に解析を限定した per-protocol 解析
治療開始 7 日目より前 (治療期間の割り当ての分岐前) に死亡した患者を除外した修正治療意図解析
結果
7日間群では1802人(99.3%)、14日間群では1779人(99.2%)で入手可能であり、27人(0.7%)の患者が追跡調査から脱落した(図1)。90日までの死亡(主要評価項目)は、7日間群で261人(14.5%)、14日間群で286人(16.1%)の患者に発生した。主要な治療意図解析では、7日間の治療は14日間の治療に対して非劣性であった(差、−1.6パーセントポイント[95.7%信頼区間{CI}、−4.0~0.8])。14 日間群では、16.5% の患者に非遵守が発生し、このうち 5.8% は短期間の抗生物質投与を受け、10.7% は長期間の抗生物質投与を受けました。7 日間群の抗生物質治療期間の中央値は 8 日間 (四分位範囲、7 ~ 11) で、14 日間群の期間の中央値は 14 日間 (四分位範囲、14 ~ 15) だった。
結論
血流感染症の入院患者では、7 日間の抗生物質治療は 14 日間の治療よりも劣らなかった。
意見
血流感染として特にMRSA菌血症に対してバンコマイシンなどの投与をしている患者の投与期間が短く済むことは腎障害発祥のリスクを低減させることにつながることが期待できる。投与期間が短ければ、投与設計を行う回数が減るため我々薬剤師の業務負担も期待できる。
謝辞
本記事作成に当たって、大変過分な支援を配信内で戴きました。ご支援いただいた方、また、配信を聞きに来てくださったすべての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

おまけ
投与設計の必要な薬剤については、結構どこの病院の薬剤師も頭を悩ませながら仕事をしていると思います。PATは非常に使い勝手がよく、いつもお世話になっています。思っていたのと真の値がずれていることが多く、週末の投与量とか本当に悩ましい…。投与期間が短くなればその分テコ入れをする頻度も減るので、直感で投与量を決定する頻度も減りますね。私たちの残業も少しは減ります。
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。先日、猫カフェへ遊びに行きましてそれはそれは癒されました。私が特に好きなのはキジトラの猫です。皆さんはどんな柄の猫を最近見かけましたか。もしよろしければXに本記事について投稿したポストがありますので、感想代わりにリプライをいただければと思います。大変喜びます。
ビタミンD欠乏と小児の睡眠時無呼吸
閉塞性睡眠時無呼吸が重度の小児、ビタミンDが低値
題名
Vitamin D Deficiency and Pediatric Obstructive Sleep Apnea Severity
PMCID:
PMC11581719
筆頭著者
Andrew E. Bluher氏
文献
AMA Otolaryngology–Head and Neck Surgery
記事タイプ
Original Article
背景
これまでの研究では、成人におけるビタミン D 欠乏と閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA) との関連が実証されているが、小児の OSA との関連が浮上しつつある。
目的
閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA) の小児におけるビタミン D レベルと閉塞性無呼吸低呼吸指数 (AHI) との関連性を評価する。
方法
対象患者
2017年から2022年にかけて三次医療小児耳鼻咽喉科クリニックでアデノ扁桃摘出術を受けた、重度の閉塞性OSA(睡眠ポリグラフ検査でAHI ≥ 20)の2歳から16歳の小児。
除外基準
Abstractに記載なし
デザイン
横断研究
期間
2017年から2022年(横断研究)
研究の内容
血清中の 25-ヒドロキシビタミン D (25[OH]D) レベルを測定し、睡眠ポリグラフ検査の指標との相関関係を評価。空腹時の血液サンプルを採取し、ビタミン D 欠乏症は 25(OH)D レベルが 20 ng/mL 未満と定義。
統計分析
多変量解析
結果
連続サンプルには 72 人の患者が含まれていた (平均 [SD] 年齢 6.7 [3.9] 歳、女性 34 [47.2%]、男性 38 [52.8%])。平均 (SD) AHI は 42.8 (25.5) で、35 人の参加者 (49.0%) が肥満でした。ビタミン D 欠乏症は 27 人の参加者 (37.5%) に認められた。単変量解析では、ビタミン D 欠乏症は、若年年齢(差、−5.0、95% CI、−7.2 ~ −2.8)、黒人(オッズ比 [OR]、4.3、95% CI、1.4 ~ 14.3)、女性(OR、4.8、95% CI、1.7 ~ 12.5)、および閉塞性 AHI の上昇(差、13.8、95% CI、1.2 ~ 26.4)と関連していた。多変量解析では、ビタミン D 欠乏症は依然として AHI と有意に関連していた。血清 25(OH)D レベルの 1.0 単位の低下は、AHI の 0.7 の上昇と関連していた(95% CI、0.04 ~ 1.40)。
結論
重度の OSA のためにアデノ扁桃摘出術を受けた小児ではビタミン D 欠乏がよく見られ、OSA の重症度の増加と有意に関連していることを示している。
日本での状況
特になし。
意見
今回の研究を持って、今後の治験でビタミンDの投与群と非投与群が比較されることを期待する。
謝辞
本記事作成にあたって、にゃんぼりーもっふぃー様に温かいご支援をいただきました。誠にありがとうございます。また、当該配信に遊びに来てくださった方、本記事をここまで読んでくださったすべての皆様に感謝申し上げます。

おまけ
治験のベースになるだろうと予測される論文でしたね。除外基準何だったんでしょうか…。
脂溶性ビタミンはこれDAKE!って暗記のゴロが頭をよぎります。学生時代はだいぶ昔のことなのに…。おまけまで読んでくださった方、もしよければ学生の時に覚えたゴロを本記事を紹介するXのポストにリプライしてください。私がとても喜びます。